いまの時代だからこそ観たいアニメーション
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わたせせいぞう氏のアニメ「ハートカクテル」

私は以前、「懐かしのハートカクテル わたせせいぞう」というタイトルで、別のブログに投稿したことがあります。遡れば2013年7月のことで、もう13年近くの時間が経過したことになります。この投稿はおかげ様で、いまだに一定の方々にお読みいただいているようです。この事に対して私自身としては、感謝の気持ちとともに、大変驚いている次第です。
2013年頃の投稿というと、記事の内容も時代遅れになってしまうことが多々あります。しかしながら、当該記事「懐かしのハートカクテル わたせせいぞう」は、根強い人気があるようです。思うにこの現象は、わたせ氏の「ハートカクテル」シリーズが、ストーリー性において、時代、世代、性別を超えた普遍的内容に由るところが大きいのだと思います。時の移り変わりが、駆け足のように速く、人々の心も移ろいやすくなっている時代です。そんな時代に、人々の関心を維持できるのは、やはり「ハートカクテル」のストーリー性の良さです。多くの方が「そのとおり」「そうそう、そんなことあるよネ」と、共感を呼べる内容だからだと思っています。
そんな訳で、今回は「ハートカクテル」シリーズの時代背景とその魅力についてのミニミニ考察です。
<過去の関連ブログ>
ブログ「懐かしのハートカクテル わたせせいぞう」 を見る
「ハートカクテル」とバブルの時代
「いい歳してハートカクテルはないだろう!」と、実は思っていた時代も確かにありました。自身の脳裏からほとんど消え去ったこともありました。ところが2013年に、あるECサイトで私は「ハートカクテル」と再会(注1)します。
この再会の詳しい経緯については、私の上記ブログを参照いただけたらと思います。
さて、この再会でまず私の脳裏に甦ったのが、深夜に放送されていた「ハートカクテル」の見逃したストーリーを、一気見したという体験でした。最近はすっかり見かけなくなったレンタルビデオ店に足を運び、借りまくったのです。そんなバイタリティーがあの頃の自分にもあったのかと、我ながら懐かしく思い、感心したことを覚えています。
そう!あの時代は「24時間働けますか?」なんて、随分と過激なキャッチコピーが普通にテレビで放送されていた時代でした。ガッツや根性といった言葉が流行し、持て囃された時代だったのです。時代で言えば1980年代半ば、つまりバブル最盛期の頃だったんですね。こんな異様(異常)な現象も、バブル経済の負の象徴としてあった訳です。

調べてみると、わたせせいぞう氏の「ハートカクテル」は、もともとはマンガ雑誌の連載からスタートしたとのこと。その後、日本テレビ系で1986年10月からアニメ化され放送されました。私が「ハートカクテル」を知るのはテレビの放送からで、雑誌で連載されていたことは残念ながら知りませんでした。それは無理もないことで、私自身マンガに関心があったのは中学生ぐらいまでで、それ以降はほとんど読んでいなかったからです。

わたせせいぞう画業50周年記念出版「ハートカクテル カラフル」
ところで、このアニメ「ハートカクテル」のシリーズを見ていると、主人公が喫煙するシーンがいくつも出てきます。当時は私も喫煙していたし、いまほど禁煙、禁煙と叫ばれていませんでしたから、気が付かなかったのでしょう。いま改めて視聴してみると、かなり違和感を感じます。あのころは自分たちも職場で平然と喫煙していたのですから、信じられない時代です。
この間に「確かに時が流れ、時代が変わったのだ」と実感しました。余談ですが、当時の「ハートカクテル」のスポンサーは「日本たばこ」で、尚且つ一社単独提供だったようです。
そんな訳で、バブルの時代に登場した「ハートカクテル」というアニメドラマは、バブル社会を背景に展開されて行く訳です。そして、視聴者のボクたちは、主人公が置かれているバブル社会の華やかな側面だけを注目し、やがて主人公の二人を憧れの存在としてみるようになるのです。

「ハートカクテル」が描いた世界観 ~ バブルと運命共同体 ~
それは「ハートカクテル」のアニメが眩しいほどに華やいだ世界観だったからでしょう。主人公二人を取り巻く環境は、現実の私の周辺世界とは比較にならないくらいに、ハイソサエティーでしたから。あの当時、ブルックス・ブラザース、ラルフ・ローレン、トミー・フィルフィガー、ニューヨーカーなどが、私たち男子にとって憧れのファッションブランドでした。アニメの主人公たちも、そうしたブランドと思しきアイテムを普段着のようにまとっていたのです。外車を乗りまわし、海の見えるレストランで食事と、羨ましい限りでした。その車から見える景色は、日本とは到底思えないエキゾチックでカラフルな街並みと自然が広がっていたのです。
バブル期の社会は、ある意味「虚構の世界」だったのです。そんな掴みどころのない時代に、「ハートカクテル」のような煌びやかなアニメが登場して、一時のブームになったのは偶然ではなかったと思います。でも正直なところ、そこまでが限界だったと思うのです。事実、私も月日の経過とバブル崩壊とともに、「ハートカクテル」のことを忘れてしまった訳ですから。どんなに優れた作品、あるいは製品でも時代にタイムリーでなければ、社会に浸透しないし、定着できないのだと思います。所詮、バブル経済も「ハートカクテル」も、人々の心の奥深くに入り込むことはできなかったのです。

バブルはある一定の時期は華やいだ時代が続いた訳ですが、それは見せかけの華やかさであり、繁栄だったことが後に結果論的に判明します。誰しもこうした繁栄が永遠に続くとは思わなかった筈ですが、日本の多くの人たちが幻想に酔いしれたのです。ですから、そうした薄氷を踏むような時代に登場した「ハートカクテル」は、寧ろ不幸なアニメだったのかも知れません。
今の時代だから相応しい「ハートカクテル」
考えるに「ハートカクテル」は、いまの時代こそ相応しい作品だったのではないかということです。先行きの見えない、夢も希望も見いだせないような今の現代こそ、甘く切ない、それでいて未来に希望がもてる「ハートカクテル」の世界が、必要だと思うのです。観る人すべてに期待と確かなモチベーションを、このアニメは抱かせてくれるからです。
私が感じた「ハートカクテル」へのチョッとした不満
「ハートカクテル」というシリーズは、全体を通して考えると、実に清々しくて後味の良いストーリーの集まりだと思います。かつての私もそうしたストーリーに、どれだけ救われたことでしょうか。
しかしながら、時の経過と自分自身が年齢を重ねたことで、当時は気が付かなかった事柄に、今更ながら気づいたのです。そんな訳で、最後に、「ハートカクテル」に対して多少の不満を申し上げたいと思います。
結論から言えば、それは主人公ふたりの「周囲への配慮、思いやり」の欠如です。これは「ハートカクテル」のシリーズ全般を通して感じたことです。当時は自分自身も若かったということもあり、この点には全く気付きませんでした。ご存知のように「ハートカクテル」は若い男女が主人公の物語です。彼らの生活と言えば、前述したように年齢相応とは決して言えないような、かなり恵まれた生活水準に設定されています。
例えるなら、ハワイのオアフ島辺りにあるような、芝生の向こうには海が広がっている、そんな邸宅に住んでいる人たちの設定です。
しかしながら、このアニメで救いなのは、こうした主人公ふたりが決して「驕り高ぶる」ことがないところです。ややもすると、上記のような人たちは、傲慢で利己的な面が目立つのですが、彼らはそうではありません。行動もマナーも極めて道徳的で、言葉遣いに関しても、いまの時代の「メチャ***」や「ヤバッ!」に匹敵する表現は出てきません。登場人物たちは、みんな上品で穏やかな紳士淑女で、言い換えれば優等生なのです。

そんな優等生の主人公に対して、私個人として唯一不満をあげるならば、それは前述した「周囲への配慮、思いやり」の欠如なのです。このアニメの登場人物の多くが、主人公二人に対してはとても優しく好意的に接している一方で、この二人の台詞のなかに「周りの人たちへの配慮」は見受けられません。私個人としては、主人公が「二人の世界」を創り過ぎているように感じられ、多少の違和感、疎外感を感じたストーリーもいくつかありました。若さ故に致し方ないと言えばそうなのでしょう。しかしながら、良識ある主人公二人の設定なのです。もう少し周りに配慮するような場面を作者のわたせ氏は、作ってあげても良かったのではないかと感じたのです。
この指摘は上記でも触れたように、自分自身が年老いて「ハートカクテル」を改めて見返したときの感想で、当時は私自身も思いつかなかった事柄です。
この心温まるアニメ「ハートカクテル」に対して「重箱の隅をつつく」ような嫌味な指摘になってしまったかも知れません。しかし、現代のような殺伐とした世の中で、一番必要とされるのは身の回りへの配慮、思いやりだと、いつも私自身は考えています。
人と人とのトラブルや交通事故、そして世界各地で起きている戦争や紛争。これらすべては相手への配慮、思いやりの欠如に由来しているように思えるからです。
とは言え、今回紹介したアニメ「ハートカクテル」シリーズは90%はとても好感が持てる作品群ですから、一度は観てほしいと思います。何作品か観て頂ければ、必ず晴れ晴れとした気分になる筈です。
今現在は、YouTube等で視聴は可能かと思います。上記で触れた私の野暮な指摘はこの際無視していただき、どうか「ハートカクテル」の世界を堪能してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
from DaVinci-like
<追記>
注1:私の別ブログ「懐かしのハートカクテル わたせせいぞう」は以下のサイトです。

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